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85歳出たとこ勝負

 インスタントコーヒーを淹れようとしてお勝手にいった。カップを探したら居間のテーブルに置いたまま来てしまった。ヨチヨチ歩きの身、面倒だがとりに行かねばならない。そこへ丁度カミさんが通りかかった。

「悪いけど俺のコップを持ってきて」

カミさんは気軽に手に取り、そのままこちらに向かおうとしたが、足元には座布団が二枚重ねて置いてある。カミさんはくるりと振り返り、テーブルを一回りして持ってきた。

 

「そんな座布団ひとまたぎでしょう、超えてきなさいよ」、

「それが出来れば苦労しません」

85歳と82歳の老夫婦は、顔を見合わせて苦笑い。

 

「無理を通さず出たとこ勝負。とう、メイゲンだろう」

「迷う方の迷言でしょう。自分でコップを忘れたのに、呑気なもんだわね」

「それじゃあ『無理は禁物、全て成り行き任せ』てのはどう?」

「どっちにしても、あんまり代わり映えしないわね」

 

コロナと熱中症を恐れて、自宅謹慎中の老夫婦でした。

 

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