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ダジャレ夫婦

 家族が一人いなくなって(8年間一緒に生活していた猫のイークンが突然天国に召されて)一カ月が過ぎた。洗濯物についたいる毛を1本見つけると「イークンの毛があった」と手にとって、しげしげと見つめている老夫婦だが、いつまでもくよくよしていてはイークンも浮かばれないと、イークンに言い聞かせていたダジャレを、なるべく使って、気を紛らしている。

 

 イークンの毛がすくなくなったと言いながら、掃除機をかけ終わったカミさんが言う。

 「お茶にしましょうか、お茶菓子は何にする?」

 「そうだね、トウブンがいいね」

 「体のためにはトウブンは控えた方がよくない?」

 「じゃあさ、4トウブンに分けて、4分の1にしてよ」

 「ウーン、4トウブンときたか。イークン、何とか言い返せない?」

 「そんなこと言われたって困るよな、‐イークン」

 

 「イークンは天国でもお友達がたくさんできたかしらね」

 「昨夜はみたこともない猫が大勢寄り集まって、家の周りを取り囲んでいる夢を見たよ。だけどイークンはいなかったなあ」

 「まだ馴染んでないのかもね」

 結局は天国にいるイークンを話に引きずり込んでしまう老夫婦だった。

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