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イークンが逝った

何で……どうして……

8年間一緒に暮らしていた猫のイークンが、この世を去った。

前の日まで大威張りで君臨していたのに、唐突に老夫婦の前から姿を消した。

もうこの歳では最後まで一緒に生活することができないから、ネコを家族にすることを諦めていたのだが、運命的な出会いに遭遇したために、一緒に暮らそうと決めたのだった。

「イークンのために、できるだけ長生きするように努力するからね」

常々そう語りかけてきた私たちは、今年85歳と82歳になる。せいぜいあと数年も生きればいいところだろう。もしそれが5年後のことであったら、その時イークンはまだ13歳、人間に換算すれば68歳だ。たとえそんなことになったとしても、猫好きの従姉妹が引き取ってくれる約束になっていたので、心配はなかったのだが……。

それなのに何で……。

前夜遅くまで帰ってこなかった。これまでにも何度かそういうことはあったので、そのうち当たり前のような顔をして帰ってくると決め込んで、先に寝た。ところが翌日の昼すぎになっても帰ってこない。その時もまだ、どこかで昼寝でもしているのだろうから、呼びに行こうかと話し合っていた。

取り敢えず縁の下に声をかけてみようかと、廊下のガラス戸を開けて目を下に向けた。その目にイークンの変わり果てた姿が飛び込んできた。そんなわけがないと、名を呼んでみた。返事をしない。イークンの死を悟った。

私たちを残して、何で、どうして……未だに納得できない老夫婦である。

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コメント

イークンの訃報、残念です。どうぞ気を落とされずに日々お過ごしください。
OB会新聞第4号、印刷に回してしまいました。イークン急逝については、後版が遅いモノクロ面でフォローさせていただきます。

投稿: 松村久 | 2021年1月20日 (水) 11時38分

松村様へ

お読みいただき、ありがとうございました。宜しくお願い申し上げます。

投稿: | 2021年1月20日 (水) 17時29分

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