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ジジのマジック

 マジシャンと言えるほどの大技の持ち主ではなく、子供だましのテーブルマジックが少々できる程度で、幼児から小学2~3年生くらいまでなら、楽しませることはできます。

 先日、病院の待合室で、隣に座っていた母親に連れられた男の子が、退屈してぐずり始めました。やたら声をかけても警戒されるかなとは思いましたが、母親と一緒なら気を許すのではないかと、話しかけてみました。

 「ジジがマジックを見せようか」男の子はキョトンとして私の顔を見上げてから、母親の顔を見ました。

 「よかったわね、見せていただきなさい」

 男の子は安心して私の方に向き直りました。

 「じゃあ見せるね」と私はポケットから500円玉を取り出し、右手の親指と人差し指ではさんでみせます。

 「よく見ていてよ」500円玉を左手で取ります。ゆっくり手を広げます。左手は空です。裏を見せますがありません。元に戻してから左手の裏に右手をいれ、ゆっくりと出すと500円玉が現れます。「すごい」母親の声に男の子も目を見張ります。

 「もう一度やるから、よく見ていてよ」といってから、今度は私の首の後ろから取り出します。そして3度目に男の胸のポケットから出してみせます。

 順番が来た男の子は「有り難うございました」と会釈する母親に手をひかれ、振りむいて手を振りながらニッコリして診察室に向かいました。

 ジジとしてはいいことをした気分でした。

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