主役交代

Img_7662 カサブランカが大きな顔をして咲いている。蕾も控えている。

「やはりカサブランカが豪華だわね」

草取りが一段落したカミさん、腰を伸ばして見詰める。

庭の隅で目の届かない所にある月下美人を、家の中で咲かせようと花瓶にさした。夜8時、開き始めた。品のいい甘い香りが部屋中に漂う。

 

Img_7681_1 クジャクサボテンは姿を消し、ガクアジサイも色あせてきた。

狭い庭ながら、季節の移り変わり…主役の交代を物語っている。

 

Img_7685_3 穴を掘って埋めた生ごみの中から、トマトが芽を出し、実をつけている。

「それこそド根性トマトジャン」

「ド根性とはちょっと違うでしょう」

「それにしても肥料が効いて美味しいかもよ」

「それは言えるかもね」

 

庭いじりはカミさんに任せっぱなしの私は、カミさんの労をねぎらう。

夏のある一日、老夫婦の他愛のないひと時。

 

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アジサイの予告

 Img_7623 たった一株ではあるが、丸型の刈り込みがうまく決まったガクアジサイの花が咲いた。昨年まではばらばらだったのだが、今年は派手さはなくてもきれいに顔を揃えている。

 道路沿いの土手には、テッポウユリがまばらながらも、道行く人に顔を向けて咲いている。

 Img_7630 庭に入れば玄関前でクジャクサボテンが一輪存在を主張している。

 イチイにはナゴランがへばりついて咲いている。 

 五月の下旬、日本列島は異例の夏日に見舞われていた。札幌でも30度を超す夏日が続き、さらに連日35度を記録した地方もあるという。

 Img_7634 20年以上も前に札幌に住んでいたことがあったのだが、札幌の夏は一週間程度だったことを思い出して、その異常さを実感している。

 「そういえば、札幌は冬が長かったけど、ここ種子島は夏が長くて、まるで正反対だわね」

 種子島産まれのカミさんは、余程印象的だったのだろう、未だに札幌時代の生活と比較している。

 「さあ、これから永くて暑い夏がやってくるわよ」

 庭の花々に目を戻したカミさんは、今自分がどこに住んでいるのかを確認するように呟いた。

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アマリリス赤く

Img_7554  アマリリスの季語は夏。我が家の庭にも、鉢植え、直植えとも深紅のアマリリスが咲いている。今年は暖冬のせいか例年より咲くのが早いように思う。

 あまりの堂々たる咲きっぷりに、生涯学習でかじった俳句でも捻って見ようかという気になった。

Img_7567  先ずはお手本をとネットで検索。

 「三方に呼びかけているアマリリス」あさなが捷

 「アマリリス四方に向くも素っ気なし」石田嘉江

 Img_7584_new 「向き向きに聴き耳立ててアマリリス」中村ふく子

 アマリリスは2輪で咲いていれば互にそっぽを向いているし、4~5輪咲いていれば、それぞれが思い思いの方を向いている。

 同じアマリリスでも、目にしたときの心のあり方で、感じ方がそれぞれ異なることは言うまでもないが、私と同じ思いを持った俳人のいることに嬉しさを感じた。

 おこがましくも、そこで一句。

 「脇見せず振り向かずアマリリス咲く」……お粗末。

 

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ニオイパンマツリ

パソコンに向かっていたら、ほのかな甘い香りが漂ってきた。Img_7552

ベランダのガラス戸を開けてみた。部屋からの灯りの中に、ニオイパンマツリが暗闇の中に浮かび上がった。

種子島の西之表市に移り住んだばかりのころ、鉢植えのニオイパンマツリを購入した。鉢に収まりきれなくなって地面に移したのだが、22年間、毎年甘い香りを届けてくれている。Img_7550_1

カミさんに撮った写真を見せた。

「夜のニオイパンマツリも素敵じゃないの」

Img_7551

その翌日、朝から降っていた雨が上って、日が差してきた。

今度は庭に出て、逆方向からパチリ。

義母は何でも丸く刈り込むのが好きだったので、庭師さんに頼んで、二段重ねにして丸く刈り込んで貰ってある。

その義母が亡くなってもう12年になる。

「今年もよく咲いてくれたネ」

亡くなるまで、この家の主を元気に務めた義母の姿が目に浮かぶ。

 

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ニオイパンマツリ

Img_7529_2
パソコンに向かっていたら、ほのかな甘い香りが漂ってきた。

ベランダのガラス戸を開けてみた。部屋からの灯りの中に、ニオイパンマツリが暗闇の中に浮かび上がった。

種子島の西之表市に移り住んだばかりのころ、鉢植えのニオイパンマツリを購入した。鉢に収まりきれなくなって地面に移したImg_7550
のだが、22年間、毎年甘い香りを届けてくれている。

カミさんに撮った写真を見せた。

Img_7551 「夜のニオイパンマツリも素敵じゃないの」

 

その翌日、朝から振っていた雨が上って、日が差してきた。

今度は庭に出て、逆方向からパチリ。

義母は何でも丸く刈り込むのが好きだったので、庭師さんに頼んで、二段重ねにして丸く刈り込んで貰ってある。

その義母が亡くなってもう12年になる。

「今年もよく咲いてくれたネ」

亡くなるまで、この家の主を元気に務めた義母の姿が目に浮かぶ。

 

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春が香る

Img_7504  母家の玄関を開けると甘い香りがフワーッと流れ込んでくる。この日の気温は15度前後と、それほど高くは上がらないのだが、それでも春を感じさせる香りが鼻をくすぐる。

 玄関のすぐ前にある棚に、カミさんが小鉢に株分けしたギンギアナムが咲いている。

 Img_7513_new その少し右手にはオガタマが開花。ちいさい花ながら香は強烈だ。

 庭の中央ではシンピジュウムが存在をアピールしている。

 それこそ猫の額ほどの庭なのだが、リハビリから帰ってきて、花たちの間を通り抜けてくると、其の甘い香りが背中を追って来Img_7521 る。

 写真に撮って見る。意外と見栄えがいい。

 「なんだかすごい豪邸の庭みたいだわね。写真はがきを三枚作ってね」

 ご満悦のカミさんから注文が来た。関東に住んでいた頃の友人への近況報告に使うのだ。

 この時期になると、毎年同じ香りを楽しみ、同じことを考え、同じ行動を繰り返してるのだが、その度に、同じように幸せをかみしめている老夫婦である。

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上品にアイリス

Img_7471_newここのところ20度近くの戦い日が続いている。

リハビリ仲間の老人同士も挨拶代わりに「このまま暖かくなってくれるといいですね」

 Img_7467_new 今年の立夏は5月6日だが、そんな種子島の陽気に誘われて“仲夏の候”に咲くアイリスが、一足早く開花した。

「アイリスが咲いたよ。薄紫だからかなあ、あまり目立たないね」

カミさんに声をかけた。

 Img_7480 「島は温かいから今どこの家の庭にも咲いているけど、上品な花だわよね」

カミさんの言う通り、薄紫の衣を身にまとった、色白の美しい女性が、物静かに小首を傾げてこちらを見ているかのよう……。

 それでは今日はヴィヴァルディの「四季」を聴くことにしようか。アイリスには「夏」より「春」の方が似合うように思う。

 

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猫「何か…」

Img_7456 外は雨。猫のイークンが身体を少し濡らして帰ってきた。残してあった食事を食べてから、縁側の前に正座してじっとしている。アウトドア派のイークン、天気さえ良ければまた出て行くところだが、今夜は雨が降っている。どうするのかと老夫婦は彼を見ていた。するとイークンは私たちの方に振り返ってから、当然と言ったような顔をして、サッサと母家の自分のベッドに向かったのだ。

Img_7461 「どうよ、あのイークンの態度。まるで私たちの思いを見透かしているような素振りで、母家に行ったわね」

カミさんはイークンの行動を見て、その心理を読み、嬉しそうに解説する。

その後の老夫婦の行動パターンは大体決まっている。9時に入浴、その時間にやってImg_7460 いる見たいテレビ番組を録画、入浴後にそれを見る。その後、その日の出来事、明日の予定などを話し合って母家の寝室に向かう。それが早くて11時。

イークンは自分のベッドで両手両足を天井に向けて眠っていた。カメラをもってきてパチリ。フラッシュをたいたためイークンは目覚めた。

薄眼を開けて「何か…」といっているようにこちらを見た。

「あらイークン、起こしちゃったわね、ゴメン、ゴメン。さ、ネンネしましょうね」

カミさんに頭を撫でられ、イークンは納得して眼を瞑る。

こうして老夫婦の一日は終了した。

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持ちつ持たれつ

Img_7430 朝起きたらカミさんが待ち構えていた。

「朝早くから改まった口調で『もしもし、お知らせです』なんていう電話がかかってきたのよ。何事だろうと思ったら『家の緋寒桜が見頃です』だって。拍子抜けしちゃった。その方は町会の役員をしているから、あんな口調になったのかもね」

 一瞬緊張したが、内容を聞いてほっとした時の心情が自分でもおかしくなったのだろう、ニヤニヤしながら告げた。

その桜は毎年見に行っているので、親切心で知らせてくれたのだった。

 Img_7434_new それにしても、もう見ごろ? 少し早いと感じたので昨年撮った写真の日付を確認したら、案の定210日でまだ三分咲だった。今年は125日で満開、半月ほど早いことになる。

 昨年「の秋には台風で葉を全部吹き飛ばされた松月桜が、小春日和の暖かい日を春が来たと勘違いして、八分ほどまで咲くなど、最近の天候は桜に思い違いをさせるほど不順だ。 

Img_7436 そんなことにはお構いなしのカミさん、気に入った写真でフォト葉書を作るよう私に要求「これが私のボケ防止策よ」と関東にいる三人の友人に近況報告をしたために取り掛かった。 

フォト葉書を作ることと、そんなカミさんをネタにしてブログをパソコンに打ち込むのが、小生のボケ防止策!? 結局は持ちつ持たれつの老夫婦ということになるのかも。

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頑張るキンカン

Img_7392_2 昨年の台風24号でいためつけられ、枝ぶりも寂しくはなったが、少なくなった枝の先には例年よりも大きな実が、見事に色づいている。

「今年のキンカンはジューシーで美味しいわよ」

完熟にはまだ少し早いが、カミさんは大粒な実を捥いできて口をもぐもぐ。私も一つほおばった。

Img_7397_new_2 「あの台風で叩かれたというのに、こんなに大きな実をつけるなんて、大したもんだね」

「かなりな老木のはずだけど、アタシ達も負けていられないわね」

 83最と80歳になる老夫婦、口では頑張ると言いながらも、一仕事終えれば「あー疲れた」とすぐ手を休めてしまう。人生100歳時代などとけしかけられても、動けないものは動けない。

20年以上乗っている愛車も、だいぶガタが来ている。買い替えると言っても後何年運転できるかを考えると、もったいないという考えが先に立つ。

頑張っているキンカンを眺めながら、買い物に行くカミさんの運転手係として、気合を入れて車を出しに向かうのだった。

 

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